Mrs.GREEN APPLE(ミセス)の映画(ドキュメンタリー)を観てきました。
公開から約1ヶ月後、正直なところ劇場はかなり静か。
それでも、ファンとして「これは観ておいて本当に良かった」と心から思える作品でした。
特に印象に残ったのは、フィヨルドで初披露されたあの曲「Variety」が、どのように生まれたのか。
その“0→1”の瞬間をここまで赤裸々に見せてもらえるとは思っていませんでした。
※この記事はネタバレありで感想をまとめています。
横浜フィヨルドで聴いた「Variety」を思い出した

私は、横浜で行われたフィヨルド公演、26日土曜日に実際に現地で観戦していました。
その時に初披露されたのが「Variety」。とても良い曲だと感じたものの、当時はまだリリースもされておらず、正直なところ日常に戻る中で記憶の奥にしまわれていました。
だからこそ、この映画で再び「Variety」に出会った瞬間、点と点が一気につながった感覚がありました。
「ああ、この曲だった」と思い出すと同時に、ここまでの想いと過程が詰まっていた楽曲だったのかと、見方が完全に変わりました。
「Variety」が生まれる夜、大森元貴さんという人

映画の中で描かれる「Variety」の制作シーン。
夜23時ごろから始まり、明け方まで、大森元貴さんが一人、部屋にこもって曲を作り上げていく姿が映されます。
楽譜は読めない。それは事実。
それでも鍵盤に向かい、歌なしの演奏を作っていく様子は、まるで鍵盤の上に絵を描いているようでした。
頭で考えてから手を動かすというより、手が勝手に動いて音が生まれているような感覚。
途中、
- パピコを食べながら
- 「一旦飽きた」とウロウロしたり
- ソファにバンっと横になったり
- 頭をくしゃくしゃして「うわ〜最悪っ」と呟いたり
- ワニのもふもふスリッパを履いていたり
画面に映る姿だけを切り取れば、ただの一人の若者です。
でも、そこから溢れ出てくるメロディ、コード、各楽器パートの流れは、無駄が一切ない、人を惹きつける音楽でした。
ギターとキーボードのソロパートを作りながら
「若井さんが苦しむやつ(笑)」
と笑う場面も印象的。感情のままに音を置いていく、その自由さが同時にありました。
完成した曲と、あの日のフィヨルドが重なった瞬間

この制作過程を見たあとに流れるのが、フィヨルドでの「Variety」。
しかも、自分が実際に参加した土曜日の映像でした。
正直、かなり感動しました。
「この夜中の孤独な作業の先に、あの景色があったんだ」と思うと、胸がいっぱいになります。
さらに印象的だったのが、ライブ後の3人の車内での会話。
その同じ時間、私は電車に乗ってホテルへ向かっていたんだな…と思うと、同じ時間を生きていた感覚が不思議で、少し震えました。
この曲が完成したのは、ライブの約1ヶ月前。
そこから若井滉斗さんと藤澤涼架さんは、あの難しいパートを完成させるために猛練習を重ねたそうです。
その真面目さ、努力量が画面越しにも伝わってきて、胸を打たれました。
大森元貴さんが常に言っている
「ミセスはこの2人がいるから成り立っている」
という言葉。
確かに、このバランスは、互いへの尊敬がなければ成立しない。
フェーズ1の5人時代、大森元貴さんが「人を信頼しきれなかった」と語っていたことも含めて、今の3人の関係性はとても美しく感じました。
大森元貴さんが抱え続ける「孤独」

もう一つ、強く残ったテーマが「孤独」です。
小学生の頃から人に馴染めず、
「普通の人は簡単に友達を作れるのに、なぜ自分はこんなに考えてしまうんだろう」
と悩み、家にこもるようになった大森元貴さん。
曲を作りたくて家にいたのか、
家にいたくて曲を作るようになったのか、
今ではもう分からない。たぶん、どっちも。
この「引きこもっていた時間」を正解にするために、音楽を生業にしようと必死で努力し、夢だったワンマンライブを叶えた。
それでも、当時の心の穴は埋まらなかった。
なぜなら、
その時の空虚は、その時にしか埋められない
ということに気づいたから。
5万人を前に歌っても、孤独は消えない。
だからこそ、その孤独とどう向き合うかを、今も考え続けている。
この言葉は、とても重く、でも正直でした。
若井さんのスキャンダルと、変わらない関係性

若井滉斗さんがスキャンダルで週刊誌に載ってしまった時の話も印象的でした。
苦しさを2人に打ち明ける若井さん。
それを聞いて「しんどかったね」と泣く藤澤さん。
一緒に泣く若井さん。
一方で大森さんは、
「お前は甘い。(女に)逃げた。それは孤独と向き合えていない」
と一喝します。
ただ、インタビュアーから
「それは、メンバーとしての言葉ですよね?友達としてはどう思った?」
と聞かれた時の
「超〜〜心配。そりゃそうでしょ」
という一言に、すべてが詰まっていました。
大森さんと若井さんは同級生。
やはり、この関係はこれからも変わらないのだと思います。
まとめ
公開から1ヶ月後で観客は少なめでしたが、ファンにとっては間違いなく観る価値のある映画でした。
インタビュー中心なので万人向けではないかもしれません。
でも、楽曲が生まれる“0→1”の瞬間をここまで見せてくれる作品は、そう多くありません。
もし配信される日が来たら、私は必ずもう一度観ます。
それほど特別な時間でした。